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2007年 11月 07日
短編集が多い印象の著者ですが、この本は一冊通して一つの話になっています。
<紹介> 現職警察官による妻殺しという事件に対して、この事件に向かい合った立場の異なる6人の主人公の心境が描かれています。犯人は自首し、犯行の供述にも不自然な所は無い、だが…。 <感想> 結論に向かって散りばめられた点が一気に収束していく様は爽快で、ラストは何度読み返しても泣きそうになる。主人公一人一人も魅力的で、それぞれ一人で一冊の本が十分書けるだけのキャラクターを持ってるし、全員に別々の特徴があるのでイメージしやすい。みんなまっすぐで格好いい。生の感情に直接触れるような感覚、この話で感動できないって方が居たら教えて欲しいぐらいだ。 評:★★★★★ 以下はこの話に「欠陥がある」と評されたことについて。ネタバレあるんで隠し…けど「欠陥は無い」ので、読んでみようかなと思っている方は安心して読んでください。 <欠陥について/ネタバレ含む> この話は「事実誤認という欠陥がある」と指摘され、高い評価をし購入する読者に対する批判も出た。(本を面白いといって批判されるのもなんだかなと感じるが。)多少の誇張表現だとかは仕方ないにしても完全な事実誤認が記述されてたなら仕方ないなと思ってはいたんだが、どうもこの「事実」というのは「服役者は骨髄提供出来ない」という事らしい。その事のどこが欠陥なのか私には理解が出来ない。何故ならば梶は服役中に骨髄提供をした訳でもなく、する為に生き延びようとしただけである。しかしながら「服役者は骨髄提供することは出来ません」なんて骨髄移植推進財団(日本骨髄バンク)のどこにも記されていないし、揺るがす事が出来ないほど強固な事でもない。そしてそれが事実であったとしても、梶がそのことを知っていると言う保証は無い。知らなければ梶はこの話の通りの行動を取るだろうから。よって、私はこの話に欠陥は無いと断じる。
by irof
| 2007-11-07 23:31
| 本
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